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ディスカッションガイド:重症筋無力症について、家族や親しい友人に説明する

2020年8月 | 7分で読めます
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重症筋無力症(MG)は難しい疾患ですから、家族や友人の理解を得ることは大きな意義があります。

あなたを心配している人に対し、MGについて説明することは簡単ではありません。今日は体調が良好のように見えても、翌日は症状に苦しんでいたりと、その日その日で病状が変化するMGは、周囲から理解されにくい疾患です。MGは説明の難しい疾患であり、何度も何度も説明しなければならないこともあります。あなたの人生に関わっている、あなたを愛していて、MGについて心から理解したいと思っている人でさえ、すぐに理解することは難しいかもしれません。しかし、適切な対話は重要です。あなたの周囲の人は、あなたの体験を正しく理解できればそれだけ、より適切な支援が可能になります。ここでは、そのためのヒントをいくつかご紹介します。

MGについて、家族全員が理解しているわけではありません。
私の兄弟は、私には特に悪いところはないと思っています。

クリス・G.
フロリダ州ハドソン

ステップ1. MGについて初めて説明する

MGは説明するのが難しい疾患です。

MGについて友人や愛する人に説明するとき、まず医学的な病態について説明していませんか。各種の症状について、それらの症状がいかに変動的であるかについて......。情報量が多すぎて、聞き手は混乱してしまいます。心中では無数の質問が飛び交っている状態です。少し時間をあげてください。相手は、あなたを大切に思ってくれている人です。MGとの長い人生を、一緒に過ごして欲しいと願う相手です。あなた自身、自分が抱える疾患について理解するのに一定の時間がかかったはずです。あなたの周囲の人も、理解には時間がかかります。

まずは基本的なことから、簡単に説明してみましょう。あまりにも詳しい説明や、臨床的な説明はまだ不要です。こんなふうに言うこともできます。「MGは筋力低下の一種です。筋肉は神経によってコントロールされています。神経が筋肉に信号を送ることができないと、筋肉は正しく動くことができません。MGの症状は人によって違うし、日によっても、場合によっては時間帯によっても違うんです」

何かにたとえてもいいでしょう。このような話はどうでしょう。

MG患者が筋肉を動かすことは、配線の壊れたドアベルを鳴らすようなものです。ドアベルは正常に鳴るときもありますが、うまく鳴らないときもあります。まったく鳴らないときもあります。MG患者の神経と筋肉は、これと同じような、予測不可能な信号伝達を介して指示をやり取りしています。MG患者が、一見問題なさそうに見えても、実際はそうではないのはこのためです。1分間問題を感じなくても、次の1分で症状が現れたりします。MG患者は、このように鳴るときと鳴らないときのある、外観は正常に見えるドアベルによく似ています。

これは1つのたとえです。みなさんなら、もっと上手なたとえ話を思いつくかもしれません。MGの体験に関しては、みなさんはエキスパートなのですから。

ステップ2. 対話を始める

最初に診断されたときのことを思い出してください。

「いったい、自分に何が起きてるんだ?」と思ったのではないでしょうか。あなたの家族や友人もまったく同じです。あなたの周囲の人も、初めて聞いたときには「いったい、この人に何が起きてるんだ?」と混乱しているはずです。同居させたほうがいいのか?この人はこの人のままなのか?あなたの愛する人たちは、このような最初の疑問が解消されるまで、MGについての他の詳細事項を理解することは難しいでしょう。ですから、まずは対話を始めてください。大事なのは、どのような質問に対しても、「分かりません」も立派な回答だということです。MGの予測不可能な性質を知るうえで、必要な対応です。

ステップ3. 対話を重ねる

気力の続くかぎり、あなたの現在の状態をまめに、率直に伝えましょう。

MGの症状や患者さんの心情には、頻繁な浮き沈みがあります。あなたの現在の症状は、必ずしも外観からは分かりません。それがどのようなものであっても、あなたの今の感情を周囲の人に伝えるようにしてください。そうすることで、周囲の人は今、あなたに何が起きているかを理解しやすくなり、計画を変更すべきか、あるいは何らかの手段であなたを支援すべきかを、より適切に判断できるようになります。

可能なかぎり詳しく、具体的に説明してください。たとえば、「今日は気分が悪い」だけでは伝わりません。筋肉が疲れていて空のショッピングカートも押せない、または食べ物をかめない、のように説明する必要があります。シャワーを使うのが難しい、でもかまいません。このように具体的に説明することで、あなたの人生に関わっている人々にも、MGの現実がより鮮明に伝わります。

何かにたとえる方法も有効です。家の用事をこなすことが、今日はマラソンを走っているかのように過酷であり、自分は今へとへとである、のように伝えてください。暑い夏の日のハイキングを、流砂の中のジョギング並みに消耗する、と表現してもいいでしょう。午後ずっとカウチに座っていなければならないのは、拘束されているような気分になり、できれば歩き回っていたい、のように伝えたほうが相手は助かります。

ステップ4. あなた自身と周囲に対して現実的になる

いったん立てた計画を、変更せざるを得なくなるときもあります。

まずは、自由に計画してください。ただし、変化を正直に伝え、予測を管理します。友人や家族に対し、自分も一緒に行きたいのだけれど、土壇場で急に行けなくなってしまう可能性もあるということを伝えてください。みんなと同じ時間を過ごしたいと心から願っても、何らかの調整が必要になる場合もあります。予測不可能であることが、MGの特徴なのです。

あなたの話を聞かせてください。
あなたが話をすることで、あなたが予想しなかったような人が、ご家族やご友人とともにあなたを支援してくれるかもしれません。

グレンダ・トーマス
アメリカ重症筋無力症財団 ニューイングランド地域サポートグループのリーダー

対話を始めましょう

MGの説明は簡単ではありません。しかし、他の人に分かりやすく、簡単に、オープンに説明する努力を重ねることで、あなたにとっても周囲にとっても、MGの毎日が少しずつ向上します。家族、友人、支援者はあなたの病状をより的確に理解することで、より辛抱強く対応でき、理解も深まり、頼りになってくれるはずです。何より、MGとの日々で感じる孤独感が薄らぎます。このように対話を続けることは、時として精神力を必要としますが、誰にとってもそれだけの価値があります。

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